■06
或る日の放課後のこと。
アタシは、学園内で迷子になっていたのです。 理由は単純明快。弓道場へ行こうとしたら道に迷った、以上。 結局アタシは当初の予定通り弓道部に入部した。 そして今日は、初めて部活に参加する日。 最初は龍が教室まで迎えに来てくれる筈だったんだけど、職員室に用があるから自力で向かってくれってメールが来て。 アタシが方向音痴ってことを知ってるからか学園内の地図を添付してくれたんだけど、歩いているうちに現在位置がどこなのか理解できなくなってしまった。 こうなったらどうしようもないので適当に歩きながら誰かに遭遇するのを待っているのだけれど、人が来る気配0。これではお手上げ状態だ。 とりあえず一度校舎に戻って誰かに案内してもらおう。 そう思って引き返そうとUターンしたら、すぐ後ろで1人男子生徒が歩いていた。灯台下暗しとはまさにこのことか。 しかも後ろに弓を背負っている。ということは弓道部員か。 「ねぇ君、ちょっと良いかな?」 「あ、はい。えっと、確か転校生の...先輩、でしたっけ?」 「そうそう、アタシは。」 「俺は犬飼隆文です。で、俺に何か用っすか?」 そう問われて、流暢に自己紹介してる場合じゃないことに気がついた。最も、初対面だから自己紹介も重要だけど。 そういえば、この間誉に弓道部に誰がいるか訊いた時、犬飼って名前があった筈。ということはやっぱり彼は弓道部員なのだろう。 「悪いんだけど、弓道場まで案内してほしいんだ。ちょっと道に迷っちゃって。」 そう言うと彼は「良いっすよ。ついて来てください。」と笑顔で言う。だから遠慮なくついて行くことにした。 「先輩、あんなところに何か用でもあるんですか?」 「いや、用事って言うか弓道部に入ろうと思って。てか入部届けはもう出したんだけど。」 「そうなんですか? 俺も弓道部入ってるんですよ。よろしくお願いします。」 やっぱり予想通り弓道部員だ。なんて運がいいんだ、自分。 「あ、着きました。ここです。」 そう言われて正面を向くと、確かに星月学園弓道場と書かれている。意外と近くまで来ていたようだ。 「失礼しまーす。」 そう言って中に入ると、そこには弓道着姿の誉と龍、それに月子ちゃんがいた。 「あ、先輩に犬飼君。よろしくお願いします。」 「、遅かったじゃないか。」 笑顔で挨拶してくれる月子ちゃんの後ろで、龍が呆れたように溜息を吐く。気になったのでケータイで時間を確認してみると、教室を出てから30分以上過ぎていた。 「宮地、お前先輩と知り合いなのか?」 今度は後ろから犬飼君の声が聞こえてくる。この質問、1日に1回はされる気がするんだけど...。 「あぁ、昔家が隣同士だった。幼馴染という奴だ。」 龍がそう答えると、犬飼君は「ふぅん...。」と呟いてアタシと龍の顔を交互に眺める。その後また何か呟いたけど、小声過ぎて聞き取れなかった。 「改めまして、ようこそ弓道部へ。これからもよろしくお願いします。」 「うん、よろしく、誉。それに皆も!」 誉の言葉に頷く。弓道部のメンバーは皆良い人みたいだし、何とか上手くやっていけそう。 「あ、先輩、実はここ女子更衣室がなくて。一度体育館まで戻らなきゃいけないんです。」 背負っていた弓道具を下ろそうとしたら月子ちゃんに話しかけられた。 「え、た、体育館ってどっち行けばいいの!?」 当然、方向音痴の自分に体育館への道が分かる筈もなく。再びケータイを取り出して、龍に送ってもらった学園内の地図を開く。 「あ、私案内しますよ。」 月子ちゃんは笑顔でそう言ってくれるけど、練習の邪魔をするわけにもいかない。 「、夜久もこう言ってるんだし遠慮なく案内して貰え。またさっきみたいに迷ったらどうするんだ。」 龍にそう言われて、結局アタシは月子ちゃんと一緒に弓道場を出ることにした。
(仲間といるのが楽しい。なんて、柄にもなくそう思ったんだ。)
*―*―*―*―* *―*―*―*―* *―*―*―*―* 夏FDのOP見てたら弓道部が書きたくなって勢いで書いた第6話です。 とりあえず犬飼の口調がよくわからん。 同級生相手ならいけるけど、先輩相手ってどんな喋り方してたっけ? そして相変わらず宮地率高すぎるww これが神宮家のデフォなんですけどね← なんでこんなに愛が傾いてるんだろうなー? そういえば、本編には全く関係ないんですけど。 夢主のデフォ名の昴って名前の子が天文科のクラスメイトにいてビックリ。 先日春FDやってて初めて知りました;; でもデフォ名変えるつもりはないです。 ちなみにうちの夢主達は、全てオリ小説のキャラを使いまわしてます← |